2015/11/29 by 管理者
人モノの移動に関する料金体系について、どういったメカニズムで構成されていて、また各省庁などによるどのような規定が採用されているのかについて整理してみることとする。特に近年大手事業者が展開している単身向けの低料金サービスなどのカラクリや企業努力などについても理解を深める参考となれば幸いである。
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引越し・運送に関わる基本的な料金は、国土交通省が定めている「標準引越し運送約款」により定められた規定に従っている。事業者は国土交通所への届け出・登録が必要であり、ある意味基礎運賃・基礎作業料金に関する料金設定という観点においては、業界標準な設定がなされていると言える。
一般的に引越し事業者がサービス設計をする際には、この基礎運賃・基礎作業料金をベースに実費、付帯サービス料など加味して営業利益を上げる工夫をサービスに盛り込んでいると考えるといいだろう。そいう意味で一般消費者が一生に数回体験、もしくはしないかもしれないが、一般的な引越し業者の料金メニューは、下記の3つの要素により設計されていると言える。
引越し料金 = 1.基礎運賃・基礎作業料金 + 2.実費(人件費など) + 3.付帯サービス料
ここでは、上記3つの要素について極力分かりやすく整理してみる。
1.基礎運賃・基本作業料
国交省が定める「標準引越し運送約款」より、料金の算出方法は「時間制」と「距離制」の2種が定められており、事業者はこの2つの手法で料金メニューを設定できることとなっている。
2.人件費や経費などの実費
こちらは引越し・運送事業者の実際にかかったとされる原価に関するもの。有料道路の通行料や、ダンボール等の梱包資材、また、荷造のための作業人工料などが含まれる。
3.付帯サービス料
こちらはオプションで選択するケースが多い各業者が設定する個別サービスのケースが含まれる。エアコンの取り外しや取り付け、ハウスクリーニングやピアノなどの特殊運送物の搬出入などさまざまなオプションサービスが含まれる。これらオプションサービスは、引越し事業者が顧客獲得のために、付帯サービスとしてサービスに組み込むケースが多いと言われている。また客単価を上げるための施策として、または利益は出ないが外部提携業者との提携により利用者の利便性を上げるといった2極化が起こっているとの指摘もある。前者は自前で提供するケースが多いため割安感があると言われており、後者は、自前でない分中間マージンも入り割高になるケースが多いと言われている。
【主なオプションサービス】
■梱包・開梱作業
■エアコンの取り外し、取り付け
■ピアノの移動、運搬、調律
■美術品の梱包・輸送
■アンテナ配線などの電気工事
■ハウスクリーニング
■荷物の一時保管(トランクルーム)
■一人暮らしの女性向けサービス
*盗聴器発見サービス
*女性スタッフによるひっこしサービス
*耐震グッズの販売・取り付け
こうしてみると理解ができるが、大手事業者はこうしたオプションサービスにより、客単価の多い世帯向けの引越しについてワンストップでサービスを提供することで、営業利益を確保しようという企業努力が伺えることができる。
一方、「人モノの移動関連事業者-市場規模」や「人とモノの移動に関する統計」でも示した通り、年間に発生する都道府県間の移動については、当然単身者の移動母体も多いと言える。若年層の人口は減ったとは言え、新入学、就職など首都圏をはじめとした都市部への転入数の統計を見れば一目瞭然ではあるが、単価の低い単身向け市場を狙った大手運送事業者による「標準引越し運送約款」の規定外の「標準軽貨物約款」「標準宅配約款」「標準軽貨物軽自動車運送約款」等の規定に合わせたと思われるような2万円以下の激安のメニューなども開発され人口が減りゆく国内のマーケットに於いて、さまざまな企業努力をしてることが推測できるものとなっている。
この他、さまざまな規定の上で定められている引越しや運送料金ではあるが、日本国内の場合、旅行業やホテル宿泊業のように、需要が拡大する繁忙期と需要が縮小する閑散期とで大きな料金相場の改定が行われている実態もあるのも事実である。以下に単身から世帯、距離別に繁忙期と閑散期との標準的な引越し、移動運送料金体系について整理してみることとする。
本料金相場表は、各種料金比較サイトなどの情報を元に整理したものである。
指定なし |
~15km未満 |
~50km未満 |
~200km未満 |
~500km未満 |
500km~ |
|
(市区町村内) |
(都道府県内) |
(同一地方内) |
(近隣地方) |
(遠距離地方) |
||
単身 |
46,487円 |
39,126円 |
33,087円 |
43,300円 |
72,538円 |
60,020円 |
単身 |
61,093円 |
45,721円 |
54,027円 |
63,387円 |
83,005円 |
91,082円 |
家族(2人) |
84,795円 |
72,021円 |
88,919円 |
86,043円 |
147,619円 |
144,219円 |
家族(3人) |
101,813円 |
91,054円 |
111,238円 |
119,240円 |
157,167円 |
153,667円 |
家族(4人) |
107,118円 |
102,740円 |
123,074円 |
120,789円 |
||
家族 |
142,192円 |
124,840円 |
144,316円 |
指定なし |
~15km未満 |
~50km未満 |
~200km未満 |
~500km未満 |
500km~ |
|
(市区町村内) |
(都道府県内) |
(同一地方内) |
(近隣地方) |
(遠距離地方) |
||
単身 |
47,900円 |
49,036円 |
37,475円 |
49,917円 |
40,753円 |
60,442円 |
単身 |
62,044円 |
49,786円 |
65,100円 |
61,409円 |
64,037円 |
73,805円 |
家族(2人) |
110,163円 |
102,881円 |
103,386円 |
121,364円 |
141,500円 |
120,812円 |
家族(3人) |
127,911円 |
101,704円 |
142,127円 |
171,059円 |
177,273円 |
186,818円 |
家族(4人) |
151,046円 |
124,362円 |
136,078円 |
186,900円 |
||
家族 |
182,733円 |
165,478円 |
価格改定の幅は上記を見ると3%から50%位の幅でなされていることが理解できる。特に世帯引越しに関する繁忙期料金は50%と大きな改定額となっていることに注目されたい。3月から5月の繁忙期については、新入学、就職など単身世帯の移動が年間で最も盛んとなる時期である。当該層の料金上げ幅は、実は3%から15%と低く抑えられている点に注目してほしい。新居の購入、または新築の竣工などの時期は国民総勢で移動が活発となる春先3月から5月を避ける形が賢い選択かもしれないと言える。区役所や電気、ガス、水道事業者への届け出、移転転居の届度等一番混雑する時期を避けることは賢明かもしれないと言える。
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人・モノの移動に関わる業界動向は、為替、原油などエネルギー価格動向、マクロ経済から国内実態経済までに及びその年の景況トレンドにより左右されるものです。「風が吹けば桶屋が儲かる」という言われ方もありますが、最新のマクロ・ミクロ経済の動向を踏まえつつ、モノ・人の移動に関わる業界の最新の動向について知りたい方は一読いただくといいでしょう。
最新動向一覧結論から言うと、学生需要がほぼゼロとなっているそうだ。
仲介事業者の話では、昨年のコロナ時の動きを見据え、2021年の引っ越し繁忙期における学生需要はほぼゼロに近い見込みとなっており、主に学生向けのワンルーム需要は、需要に対して供給が大幅に上回っている状況だそうだ。
本記事を執筆している2月初旬現在においては、現在受験の真っただ中という中にあってそこまで冷え込むのであろうかという疑問をていする収益物件経営者もいると思われるが、実は、昨年当初から本年までのおよそ1年を通し、特に地方から都市部の大学へ通う学生需要が解約を含め激減しているのだそうだ。
続きを見る2020年度に入ってからアパートオーナー他、業界関係者に話を聞いた所、今年は3月、4月繁忙期にコロナ禍による非常事態宣言等が発せられたこともあり、物件の一部賃料相場と人の移動に関する動きについて、例年とは違った動きとなっているようだ。
続きを見るヤマト運輸の労働環境の問題が昨年から取り上げられ、料金引き上げなど話題になっていますが、日本の流通をになって来た宅配サービス事業者の状況がここ数年で大きく変わってきているようだ。スマートフォンの普及、決済の電子化、高度なITサービス化により、モノを購買するという行為がオンラインにシフトしていっているというのがその原因だと言えるだろう。
その小売店の収益は減少し、膨大なトランザクションによる消費者のオンライン購買の受け皿としてその役割を担ってきた宅配業者も旧来の体制ではサービス自体を維持できなくなっているというのが実態なのではないだろうか?
続きを見る「人とモノの移動に関する統計」でも紹介したが1970年代初頭をピークに減少しつづけ、2007年リーマンショック後15%近く減少し現在に至る。ここで言う移動とは地方から大都市圏を指すが、高度成長期の移動ピーク時においては金の卵とよばれる若年層がその母体をささえたボリュームゾーンとされているが、成熟国となった日本におけて現在では事情がちょっと変わっているようである。
続きを見る受験シーズンを終えて、2016年度も約100万人強い受験生が大学受験をしたと言われています。内地方からの受験割合が40%程度としておよそ40万人近くの18歳人口がこの時期都道府県をまたいで移動することが推測できます。
続きを見る人モノの移動に関する料金体系について、どういったメカニズムで構成されていて、また各省庁などによるどのような規定が採用されているのかについて整理してみることとする。特に近年大手事業者が展開している単身向けの低料金サービスなどのカラクリや企業努力などについても理解を深める参考となれば幸いである。
続きを見る2016年度の経済動向を予測しながら、国内経済おける需要創造の一つのきっかけとなっていると言える人・モノの移動経済動向について、マクロな視点と、グローバルな経済動向ともに、国内実態経済に及ぼされるであろうさまざまな事象要素を検討して行くことで、2016年度の運送・流通関連事業者の動向について見通しを立ててみることとする。
続きを見る本節では、日本国内における年間あたりの移動経済の市場規模感とその市場を構成するセグメントについて整理することで、一般消費者の当業界に関する基本構造の理解と関連サービス活用の際に参考となるであろうデータを開示する。
続きを見る2015年度前半は、アベノミクスによる金融緩和による株価市場の底上げは見られたものの、円安進行による輸入原材料、原油エネルギーの実質価格上昇による期待インフレ率が1%台の推移となっていたが、後半は、米国シェール革命と中東産油国との原油価格のチキンレースにより1バレル40ドル台まで原油が値下がりし、円安分の原油価格上昇が総裁される結果となっている。
続きを見る人とモノの移動に関する統計データを国内都道府県・市区町村間移動者数に関する時系列推移データ、転入・転出に関する都道府県別統計データ、3大都市圏における移動者数の時系列推移トレンドデータの3つの視点でみることで、今後の移動経済に関するマクロ、ミクロなトレンドを推測する。
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